製造業は、現代社会で最も長い歴史を持つ産業の一つです。産業革命の鍵となった応用技術は、大量生産のプロセスを新たなレベルへと導き、現在もその傾向は続いています。家具、自動車を含むあらゆる消費財など、製造業は世界経済の重要な構成要素となっています。注目を集める機会は日用品より少ないですが、化学製造業も人々の生活に大きく関わる業界です。

市販の化学物質と聞くと、理科室や研究所など、特別な場所で使われるように思うかもしれません。しかし実際は、これらの製品は社会に間接的な影響を与えています。安全な食品保存料、洗剤などの日用品や化粧品、世界を席巻している革新的な合成ポリマーなど、多くの生活用品が、化学物質の開発・生産・流通の成功によって支えられています。

この分野の企業は、他の産業に比べてはるかに多くの物理的なインフラを必要としますが、使用するエンジニアリングシステムやツールにも、次世代技術の導入が効果的です。最適化された化学製造施設を運営するために解決すべき課題を考慮すると、ERPシステムの更新を検討し、課題に対処するためにロールアウトの専門家の力を活用することが、ますます重要になります。

グローバル規模で見る化学製造・流通の課題

化学製品の製造プロセスの進歩や、IoTの登場は、業界に多くのメリットをもたらします。しかしこれらのメリットを享受するためには、綿密な導入・管理・メンテナンスが必要です。管理を誤ることによって生じる、化学品製造・流通業にとっての共通の課題 には、次のようなものが考えられます。

変動する商品の価格

広く普及している化学製品は、他の化合物に由来し、精製されることで初めて商業的に利用できるようになります。このプロセスでは、大量の化学物質とエネルギーが消費され、この業界における2大コストとなっています。エネルギーの価格は地域によって異なり、さらに商品の価格 はサプライチェーンの問題や労働力不足に影響されるため、経営者が財務上の成果を予測することは非常に困難です。

リコールと監査

化学物質が人体に害を及ぼしてきたという歴史的な前例があるため、国際的および地域的な規制機関による製造方法の制限があります。これらの法律は、品質基準を定め、規制当局によるリコールが必要な製品を迅速に特定するのに役立ちます。もう一つの規制措置である監査は、製造施設が安全性・品質・効率の基準を満たしているかどうかを評価するものです。

リコールや監査は、消費者や従業員を守るためには必要ですが、関係者にとっては悩みの種でもあります。従業員の時間を拘束し、リソースの費用もかかるだけでなく、広報活動 や企業評価にも影響を与えかねません。また、多国籍企業の場合、各生産子会社は地域によって規制や法的要件が異なる場合があり、そのことが手順やプロセスを標準化を困難にします。

データ過多

インダストリー4.0 の時代を生き抜くためには、全ての企業がデータを効果的に活用することで、最大の成果を上げる必要があります。もちろん、化学製造業も例外ではありません。化学製品の開発を予測・監視・分析するために必要な全てのシステムを備えた製造業者は、ロットの品質から機械効率まで、あらゆるデータを大量に生成しています。データは、次のような幅広いカテゴリーから収集されます。

  • ロット間のばらつきの管理
  • 保管・出荷時の製品追跡
  • 在庫需要の予測
  • 工場の効率化とメンテナンス
  • ユーティリティとスケジュール

これらのデータは専門の部署でサイロ化していることが多く、本社が、状況を完全に把握することは困難です。また、大量の情報があるため、データのミスも起こりやすく、資金や資源がさらに使われる結果となります。

化学製造市場におけるERPロールアウトの成功例

ここ数年、M&Aは減少傾向にありましたが、パンデミック後の社会が化学製造業の 成長にどのような影響を与えるかは、まだ不透明です。世界を視野に企業を買収することに興味を示している分野もあれば、新しいERPのロールアウトにより業務を改善しようとしている化学メーカーもあります。どの方向性を目指すとしても、新しいデジタルシステムを適切に導入することが、データのサイロ化を解消し、効率と利益を上げるための鍵となります。

IoTと最先端ERPの活用

IoT化により、業界内でも新しいシステムの導入が進んでいます。マルチクラウドのアプリケーション環境から、完全に統合された自動化システムまで、最新のERPプラットフォーム が化学メーカーの業務を改善する方法は、無限にあります。

例えば、現在の ERP が提供する配合管理機能により、化学メーカーは製造に必要な原材料の発注を、追跡・分析・自動化することができます。配合が変更された場合、このインテリジェントシステムは、材料に基づいてサプライヤーへの発注を自動的に調整することができます。

SAP のようなERPのエキスパートは、世界中の何千もの化学メーカーのコスト削減と効率化を支援し、より良い製品の提供に努めています。 

グローバルロールアウトの専門家を活用する

SAPは、化学メーカーのデジタルニーズに対応する豊富な経験を持っているだけでなく、ERPの世界的なロールアウトを支援できるネットワークを持っています。SAPのパートナー企業による専門家チームは、大規模なERP導入の人的およびプロセス的側面に対応し、ローカルとグローバルのプロセスを統合して、本社とその関連子会社の完全な連携を支援します。それを実現したのが、当社のBASF社への導入事例となります。

 「BASF社では、全ての従業員がECCプラットフォームを使えるように導入を進めてきました。この2~3年の間に、1つの決まった型では、全てに対応できないという認識が生まれてきました。ビジネスモデルは1つではないのです。」BASF社 、ビジネスプロセス担当マネージャー、 Vince WEISNOSKI氏

be one solutions は、グローバルにおけるSAP Business OneやS4/HANAなどの、2層ERP戦略をはじめとしたSAPソリューションの導入を数多く手がけてきました。インダストリー4.0の時代における、化学メーカーが競争力を維持するために必要なSAPのERPソリューションについて、それに対して当社がどのように貢献できるかを、ぜひお問い合わせください。

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